鹿の足跡

鹿の足跡
鹿の足跡

 

激しい雷雨の夜が明け

雨水を吸った湿った土の上に

しっかりとした 足跡を残し

歩いていたのは誰だ?

 

山の中から 時折

金属音の様な声を響かせている 鹿の足跡だ。

 

険しい崖に 力強く蹴り上げ道をつけ

「ああ これが獣道なのか」

と 私を感心させる事も度々。

 

まだ 車も通らない薄明に

川沿いの道を歩き どこに行ったのか

足跡は 突然消える。

 

星が消え 鳥たちが鳴き始め

鹿は山に帰る。

人の動き始める前の 動物達の世界を

早起きをして この目で見たいと思う。