小さな陶の箱(2)「家」

 

小さな陶の蓋物が好きだ。

手のひらに載せると 少しの重さを感じる。

その重さに比例するだけの物語も。

 

地平線が見える草原に 箱のような小さな家。

そばには 

気持ちのいい風を受けて立つ木があり

サワサワと音をたてる。

鳥もやってきて 羽を休め

一声鳴いて飛び去るのだ。

 

朝は東から日が昇り 夕には西に日が落ちる。

星空の夜の輝きを 想ってみよう。

草原に寝転び空を見上げると

星座たちが ギリシャ神話を語る。

 

朝早く 露の原を歩くと

靴もズボンの裾も濡れるけれど。

 

小さな家は風 雨 雪から住人を守り

煙突から立ち上る煙は

旅する人の心に暖かさを与える。

 

手のひらの上の小さな陶の箱。

見ていると 星月夜や

風の音までもが 聞こえるようだ。