気丈な苺

 

友達の亡くなったお姉さんが

特に好んだ硬めのイチゴ。

今でもいちご農家から届くのだと

友達は言った。

 

仏壇に備えてあったのを

一箱貰った。

 

しっかりとした果肉と酸味は

懐かしく 気丈な娘の意志の様だ。

 

二つに切ったイチゴを

小さなガラスの鉢に入れ

ほんの少しの砂糖と

カスピ海ヨーグルトをかける。

 

強い北風と 窓に叩きつける雨の夜。

暖かい小屋の中で

ご飯の後に食べるイチゴ。

 

甘酸っぱい気丈なイチゴは

特別においしい。