濡れそぼれた合歓の花

合歓(ねむ)の花
合歓(ねむ)の花

 

濡れたアスファルトの道路に

濡れた合歓の花。

 

そこで 私はやっと 

合歓の花の咲く頃だと気づいた。

 

見上げると

灰色の空を背景に

絹糸を束ねた様な花が

群れて咲いていた。

それらも やはり

濡れそぼれた花だった。

 

雨の降る日は 空を見ない。

いつも

足元ばかりを見て歩く。

 

そして 出会った花は

濡れた道の上に

沢山の 見事に散らばった絹の花だった。

 

降り続く雨に 

空気も 何もかも 全てが冷たい。

今夜も 

ストーブに薪をくべた。

小屋の中は ほんわかと暖かい。