成長した「アルプスの少女ハイジ」

新書版サイズ位の緑の本。

麻布の表紙だ。

水に濡れた跡がある。

本棚の隅に隠れた様に立っていた。

 

表紙を開ける。

「アルプスの少女 ハイジ」が成長し

娘になった頃の話だ。

額縁の様にページを囲む

植物の絵の なんと魅力的な事か。

 

長い序文の最後のページ。

釣鐘草の絵。

これを描いている時の

紙に当たるペンの感触が

私に伝わってくる。

 

一章ごとに描かれた

19のイラストレーション。

素朴なペン画がとても楽しい。

 

「休暇の終わり」の章の絵。

後方にそびえる三角形の山は

マッターホルンだろう。

教会 煙突のある小屋

手を振る訪問者。

長閑で平和な世界。

 

調べてみた。

「Heidi Grows Up」は 

ハイジの作者スピリの死後

30年目の1938年に

スピリの英語とフランス語の翻訳者

チャールズ・トリットンによって書かれた。

パリ ニューヨークで出版された。

 

「序文。

デイビッド・コッパーフィールド

ダルタニアン アイバンホー

アリス ハンス・ブリンカー

ジム・ホーキンスの様に

ハイジは世界中の その時代の子供達の

宝となった。」と トリットンは記す。

 

この緑の本は イギリスで出版。

1952年に第1刷

1953年に第3刷と

本に記されている。

 

この本の持ち主は誰か?

多分 夫の母だろう。

 

成長した「アルプスの少女ハイジ」物語。

小さくて軽く易しい英語で書かれたこの本は

寝る前に 布団の中で読むのにいい。

 

よくも捨てられずに本棚の片隅で

ひっそりと鳴りを潜めていたものだ。