雪爺が ほら あそこに見えないか?

 

小屋のすぐそばに広がる原っぱの

夏の深緑の草いきれ

もう遥か遠い日の様だ。

 

枯れて 品のいい薄茶色に変わった

原っぱの上を歩くと

カフカとした弾力。

 

この下に潜んでいる

次の年の春の力。

 

雪が降る前の静かな時。

微かに音を立てて

こちらに向かって来る雪爺が 

ほら あそこに 見えないか?