赤くなるまで待つトマト

赤くなるまで待つトマト
赤くなるまで待つトマト

 

台風が去った後。

集落の皆さんの畑の

きゅうり トマト 唐辛子等々の

支柱が無残に倒れた。

それを立て直すのに

夕方 涼しくなった頃から

皆さん 忙しい。

勿論 チャックの畑も。

 

そして

土まみれになった 野菜たちを

一つ 一つ摘み取り

そんな手間のかかった野菜を

私は貰って帰る。

 

「もうこれで 今年のキュウリは終わり」

と トミコさんは言う。

「ああ もうそんな頃なんだ」

 

毎日

暑いと文句を言っているのに

夏の終わりを不意に感じ

名残惜しい。

 

完熟していないトマトは 鉢に入れ

机の上で赤くなるのを待とう。

 

赤いのは

ガラスの器に入れ

冷蔵庫で冷たくする。

器も冷えて

すりガラスの様に曇り

その様もご馳走に感じる。

 

冷蔵庫の中で出番を待つ

茄子 万願寺とうがらし

 

これらを食べ切った頃

又少し 夏から秋へと

ほんの少し季節は移っているのだろう。