ふーっと白い息を吐きホッとする

 

明るい太陽に照らされた

冬の楢林の山。

葉の落ちた樹々。

 

鹿が歩いていないかと

黒い物が動いていないかと

私はじっと山に目を凝らす。

 

水をたっぷり含んだ雪が

椿の枝から

大きな音をたてて落ちた。

 

驚いて振り向くと

枝がゆさゆさと揺れていた。

 

あちらこちらで

野鳥達の声が響く。

 

凍える川の流れは

音までもが鋭い。

 

日暮れが遅くなり

ぼんやりとした靄の向こうに

半分の月が浮かんでいた今日。

ふーっと白い息を吐き

ほっこりする。