雪解け

築40年以上
築40年以上

うちの小屋の道路を挟んで斜め向い。築40年以上のプレハブ小屋が2軒。

高度経済成長期に、杉や檜を植える為に岐阜や高知から沢山の山林労働者がやって来た。その人達が住む為に建てた。奥にもう一軒。それにトイレも風呂もあった。

 

当時、平良の各家庭にテレビはあったが、山奥の谷筋まで電波は上手く届かない。雨が降った様なブラウン管テレビを、こんなもんだと思って村人は見ていた。

山林労働者達は山の頂きにアンテナを立て、コードを下のプレハブ小屋まで伸ばし、クリアな画面のテレビを楽しんだ。村の人達がこの小屋にテレビを見に集まったのは言うまでもない。

ここで育った子供達は、今はもう50代の立派な社会人になった。

雪解けの川と谷
雪解けの川と谷

毎冬、このプレハブ小屋の屋根に1m程の雪が積もる。夫も私も細い鉄骨で組み立てられたこの小屋の強靭さに驚いていた。

 

何人もの山林労働者や家族を守り、その人達が去った後も立ち続け、ついにねじれた様に姿を変えた。

 

今日は冷たい春の雪が降っている。

雪解け水は山の谷から針畑川に注ぐ。雪は黒く汚れ、日に日にかさが減っているのが目に見えて分かる。

谷をどんどん音をたてながら落ちてくる水の音を、布団の中で聞きながら眠る夜が続いている。

 

 


洋食屋風、スコッチエッグ
洋食屋風、スコッチエッグ