夕方、4時を過ぎると山間の平良は、山や林に靄がかかりとても静かだ。
2012年を穏やかな日で迎えた。
しかし、暮れの30日に急性腸炎で高島病院に駆け込み、点滴を受け、薬を貰い、しょげた気分で平良に帰った。夕方明るい内に病院に着いたのに、帰りは真っ暗な国道を前から雪が吹雪いて来るのを車のフロントガラス越しに見るのは、こんな気分の時は気力もより失せる。チョットした病気やけがでも、これで世界が終わりの様な気になる。
寝付く事はなかったが、気力、体力共に失せ、おせちどころではなかったが、今日はお雑煮を食べ、少しだけ黒豆やきんとんを食べた。
漬け物名人の平良の奥さんからお餅や野菜と一緒に「鰊のこうじ漬け」を頂いた。この麹の匂いが、食欲のない重い私の胃に効いた。匂いを嗅ぐだけで「ご飯を食べたい」と思った。
薄く切られた大根にまとわりついた麹。鰊も程よく漬かり、私は「ああ、おいしい!」
早くこの奥さんにお礼の電話をと思う。しかし、機関銃の様に喋り続け、電話でも、戸口でも、話の切れ間を探すのさえ難しい親切な、人のいい奥さんに電話をする元気は、今はない。