「秋らしくない」と蛙が言う。

小屋のすぐ側にある小さな菜園。今年はトマト、胡瓜、茄子、長唐辛子、レタスやシソが実を付け葉を茂らせた。村の人から頂いた苗もある。毎年「又、鹿に全部食べられました」と言うのも失礼だ。そこで夫が杉の間伐材で大雑把な柵を作った。鹿が角か頭をコツンとあてた時「ここから入ってはいけないんですね」と分かってくれればいい。

 

今年は野うさぎがビーツの葉を完食した以外はどの野菜も私達の口に入った。何時もはカラスのオヤツと化すトマトも私達のお昼の一品になった。去年はお茶の木の葉から秋明菊の葉や蕾まで全部鹿が食べたのに。

 

100m程北のお隣さんの柿の木。毎年甘柿がたわわに実をつける。甘い柿は猿も好物。お行儀の悪い猿は一口食べては捨て、一口食べては捨て、木の周りはそんな柿の実が散乱している。でも今年はまだ青い葉の木の枝に柿の実が鈴なりだ。

 

ウチの柵が功を奏したのではない。鹿や猿、猪がどこかに移動したのだろうという話だ。去年は猿に殆ど食べられた平良のトウモロコシも今年は大丈夫だった。

 

来なければ来ないで、姿が見えなければ見えないで、「何処をほっつき歩いてるんだ」と気になる。

 

置物ではありません。
置物ではありません。

指先程の小さなモリアオガエルからバレーボールくらいの大きさの蛙まで、今や家族のようなものだ。その気持ちが伝わったのか、夏の在る日小屋の中で何とものんびりと寛いでいるカエルがいた。どうするのだろうと放っておいたらいつの間にかどこかに消えていた。

そのカエルだろうか?1週間程前から裏の薪小屋の辺りで大きな声で鳴く。半袖のシャツでも汗をかく様な、とても11月の気候ではない日が続いた日に。

 

「何を怒ってるの?」

「土の中にいてもこんなんじゃ落ち着きませんよ!」だって。

 


平良の椎茸で煮しめ
平良の椎茸で煮しめ