ソウルの旅(8)

奨忠公園(チャンジュングォンウォン)
奨忠公園(チャンジュングォンウォン)

3泊4日のソウルの旅はあっと言う間に帰国の日になった。

時差もない、顔も体格も同じ、携帯もすぐにつながる、ハングル文字を見てやっと韓国にいる事を感じさせられる。それ程似ている近い国だった。

 

3泊したホテルは南山(ナムサン)と言う小高い山の中腹にある。ソウル市のど真ん中に位置しているのに、窓から見えるのは深い豊かな緑の中に点在する大学やグランド、ホテルだった。14階の部屋の窓から下に見えている「あそこは何なんだろう?」と思っていた場所。空港へのシャトル出発までの2時間をそこへ行ってみようと思う。

 

ホテルの坂道を下って左へ。青信号でも左右をチャンと確かめて渡らなくてはならない。そして、東国大学校(トングデハッキョ)の手前にあるその場所は公園だった。

手入れの行き届いた公園
手入れの行き届いた公園

「奨忠公園(チャンジュングォンウォン)」にはデイパックの人、首にタオルをかけた人達が、一人であったり、数人であったり、のんびりと歩いている。光る葉を揺らす木々や控えめな野草はよく手入れされ、ゴミ一つ落ちていない。公園でよく見かける華やかな洋花は植えられていない。少なくとも私の歩いた辺りはそうだった。暑いけれど乾燥したソウルの空気は「ああ、気持ちがいいなあ」。

この公園から南山の頂上に道が続いているようだと、ホテルの部屋に戻ってもう一度公園を眺めて分かった。

 

漢江(ハンガン)に沿って、仁川空港へ
漢江(ハンガン)に沿って、仁川空港へ

ホテルから仁川空港までシャトルバスで1時間少し。

バスは坂道を下り、ホテルの部屋の窓から見えていた道路に入り南山のトンネルを抜ける。そこは梨泰院(イテウォン)。ソウルのほぼ中央にあるこの街にアメリカ軍基地がある。韓国に沢山の米軍基地があるのは知っていたが、こんな街の真ん中にあるなんて。

 

バスの窓から見える漢江(ハンガン)と対岸のマンション群。大きく広がる空とゆったりと流れる大河、漢江。岸に沿った緑の木々の帯とマンション群。新しく街を作る時のデザインがしっかりしているのだろう。とても美しい。

 

ソウル特別市から離れると仁川空港までは一直線の高速道路だ。シャトルバスはスピードを上げる。

家も建物もない平原の様な広がりを造成している所が何カ所もある。そして建物を建てる前にまず木を植えている。潤いのない街だろうと行く前は思っていた。でも行く先々で豊かな緑に驚かされた。謎が解けた。

 

窓の遥か向こうに江華島(カンファド)が見える。去年、北朝鮮が砲撃した島、延坪島(ヨンピョンド)はそのすぐ側だ。韓国の若者には兵役の義務があり、ソウル特別市の真ん中に米軍基地があるのも、北朝鮮のこの近さを実感すると嫌でも納得させられる。

銀色に輝く大きなエイの様な空港ビルが見えて来た。仁川空港だ。