映画「ハーブ&ドロシー」

ハーブとドロシー
ハーブとドロシー

日本人女性監督佐々木芽生(Sasaki Megumi)の製作監督のドキュメンタリー映画「ハーブ&ドロシー」。写真を見ただけで行きたいと思った。

 

ニューヨーク市郵便局の郵便仕分けの仕事を定年まで続けたハーブ。図書館司書を最後まで勤め上げたドロシー。ニューヨークの1LDKのアパートに猫や亀達と住み、何十年も好きなアートを買い集め、それらに囲まれて生活する夫婦。買い求める時の基準はいたって簡単。作品はミニマルアートとコンセプチュアルアートに限り、部屋に飾れる大きさ。勿論自分達の財布に合う価格。そうやってコレクションした作品がベッドの下から、床、クローゼットの隙間、上まで脚の踏み場もない程狭いアパートに溢れている。買い集めた時は無名の作家達の作品は、今や美術館に並ぶまでになった。ハーブの兄夫婦は言う。「あのコレクションの中の二つ、三つを売れば大きな家に住め、もっと快適な生活が出来るのに」と。

この膨大なコレクションを、二人はワシントンのナショナルギャラリーに全部寄贈した。沢山の美術館の中から選ばれたナショナルギャラリー。玄関に大きなプレートを張り、そこに二人への感謝の気持ちを彫った。

その作品群は最も大きなコンテナトラックで5台。運送業者もナショナルギャラリーもびっくりした。そして、ナショナルギャラリーは「ほんの少しのお礼」をハーブとドロシーにした。「これで新しいソファーや家具を買い、快適に暮らしてもらえれば」と。そして、スッキリとした部屋の壁に、そのお金で買った新しい作品が又掛けられた。

 

「豊かさ」についての定義は人それぞれだ。

お金が豊かさの基準と思う人が多い中で、贅沢ではないが、好きな物に囲まれてのハーブとドロシーの生活は、頑固さと共に余裕も感じられる。

幸せな人生だと思う。

 

 

ナショナルギャラリーで
ナショナルギャラリーで

いかと小松菜のチジミ
いかと小松菜のチジミ