昨晩から降り続いた雨と雪解けの水で、裏の針畑川はゴーゴーと音をたてて下っている。
屋根の雪も消え、除雪車で寄せられた道路の脇の雪も日に日にかさが減っている。これから何回か降るであろう雪も太陽の光で融けてしまうだろう。
雪国の春は少しずつ、ゆっくりと、五感を刺激しながらやって来る。杉は赤茶色に色付き、花粉を飛ばす日を今か今かと待っている。野鳥達は、膨らんだ木の芽を付けた枝に群れて休み、あちらこちらの岩の間から、清水が澄んだ音をたてて流れ落ちる。2ヶ月の間、雪の下で眠っていた苔や山の草達。深い緑をのぞかせつややかだ。昨日,今年初めてのフキノトウも雪の間から顔を現した。雪のなくなった道路にモーターバイクの音。ざわざわとした季節の到来の音だ。
カリフォルニアの友人からの便り。「庭のレモンの木にたくさんの花が咲き、甘い匂いが漂っている」
この山の村は、これから先もう少しストーブに薪をくべる日々が続く。