餅花

私の知っている餅花は、たこ焼きかピンポン玉の様に丸く、半分がうすいピンク、もう片方の半分が白で、柳の枝にそれは綺麗にくっついていた。子供の頃に記憶である。

 

ここ平良では、しなる木の枝に餅を白い梅の花の様にくっつけ、それをオクドさんに供える。輝く雪に囲まれての2ヶ月程、今の様に自由に車で出かけられなかった少し前までは、春を待つ花であったに違いない。

そして鶯が初めて鳴いた日にこの餅を食べる。その当時の子供の楽しみだったと聞いた。

 

初詣は一日。その日に神社にお詣りし「思子渕大明神」と「十禅師大明神』と刷られたお札を貰い、去年の札の上にそれを重ねて貼る。私達は氏子ではないので好きな時にお参りをする。勿論、お札も貰わない。

初めてこの貼られたお札を見た時、柳宗悦が見たらきっと感動するだろうなと思った。力強い、素朴な美しさ。この版木を作った人はどんなセンスの持ち主だったのだろう。

 

去年の夏は経験しない程の猛暑で、今年の雪は又、いつにない大雪だと村の人は言う。しんしんと降る雪が外には塀の様に積もろうとも、家の中には餅の花が咲き、神社の札が家を守る。

 

何と素朴で身近な信仰だろうか。

そして鶯の一番鳴きに耳を澄ましながら、ゆっくりと村の人達は暮らしている。


ウイスキーをたっぷりかけたケーキ
ウイスキーをたっぷりかけたケーキ