雪に守られる 桧の葉

 

アスファルト道路脇。

黒い塵が散った雪の層に

桧の葉が 守られるように横たわる。

 

ふわりと降ってきた雪が

ザラメ砂糖のような結晶になり

手のひらに載せると ゆっくりと溶ける。

 

雪溶けの雫の音がする。

それは

雪の層の中から響く 木琴の様な音だ。

じっと 耳を澄ます。

地の中を流れる伏流水が

雪の層を溶かしているのか。

 

生き生きとした 自然のリズム。

冬の最中を装いながら 春の準備をする。

 

静けさを破るように カケスが大きな声で鳴く。

カワガラスが二羽 川面を鳴きながら飛び

小さな岩に止まる。

 

雪の前で屈んで じっと耳を澄ます私を

笑っているんだね。