蓼(タデ)の花

 

山の向こうから まだ陽が昇らない時に

雨が降った後のように 夜露が草に残る。

 

秋の野草が 道路脇や木の根元に

ひっそりと咲いている。

 

緑の葉から 赤く色づき始めた蓼を

何本も手折ると 指先が濡れた。

白の花器に挿した 淡いピンクの蓼の花は

上を向いて吠える ピンクのコヨーテの前。

 

さて 今から

狭い棚の中に詰まった 私の思い出話を

蓼の花は 色々と聞かされる事になるのだよ。