慌て者のフキノトウ

 

春一番の花は

オオイヌノフグリと決まっているのに

「どうしたの?

こんなに早く顔を出すなんて。」

私が思わず声をかけたフキノトウ

 

1メートル四方程の

ごろごろとした石の間。

ぽこぽこ ぽこぽこと

可愛い姿で群れている。

 

日当たりがいいのかな?

と 上を仰いで見るが

そこは一面の灰色の空だ。

 

毎年 

冬になるとやってくる鴨3羽。

私が近くを通ると

バサバサと大袈裟な羽音を立て

川から飛び立つ鴨3羽。

その鴨達が

寝ぐらにしている川のそばに

慌て者のフキノトウが咲いているのだ。