松ぼっくりと私

 

「ん・・・?」と 私は立ち止まる。

 

枯れたシダに引っかかった

枝のついた松ぼっくり

 

見上げた空に 松の木は見当たらず

どこから やって来たのか。

そして

いつから ここにいるの?

 

強い北風の吹いた日に

高い松の枝から離れ

空を舞いながらの 短い旅。

 

小雨が止み 

灰色の雲が切れた合間から

淡い青空が見え

そこに

幾重にも重なった雲が流れる。

 

そんな 空の下

小雨の中で ふと出会った

松ぼっくりと私だ。