絵本「満月をまって」

 

今から 100年よりもっと前

アメリカ ニューヨーク州の北

山の中で カゴを作って暮らしている人達がいた。

 

それはトネリコの木を薄く剥ぎ

編んだ 堅牢で美しいカゴ。

 

夜を明るく照らす満月の日に

出来上がったカゴを担ぎ

父さんは 街まで売りに行く。

 

 

やっと 父さんは僕を街に連れて来てくれた。

 

ジャンセン金物店の棚を見てみよう!

鍋 バケツ ストーブの煙突 皿 ノコギリ

かんじき 石油ランプ 魚を取る網 陶器の壺

 

父さんはここでカゴを売った。

そして

母さんに頼まれた物を買いに 食料品店へ。

 

ふすま入りの粉 白い粉 ベーキングパウダー

生姜 干しぶどう レモン ラード 豆

玉ねぎ 缶詰のトマト・・・

 

初めてみる街の色の洪水。

 

買った物を棒に結えて 

我が家に向かって歩き出した。

その時

心ない人達から投げかけられた言葉に 

僕は初めて 社会の現実を知らされる。

何時迄も 頭から離れないその言葉。

 

 

心ない言葉に トネリコの木を探しに行くのも

カゴを作ろうという気持ちも萎えた。

 

さて その後

僕はどの様に 成長の階段を一段

登っていくのか。

 

最後までは話さない。

是非 自分で本のページを繰り

読んで欲しい。

 

美しい絵の中で語られる 

懐かしい質素だが豊かな暮らし。

私の大切な一冊になった。