緑の草と苔

 

七草の粥を食べる日は

毎年 雪を掘り

小さな芽を探す。

ある時は スーパーで買った

小松菜であったりする。

 

手のひらに載る少しの七草を

細かく刻んで

甘い香りの湯気のたつ

白い粥に放り込む。

さっと深い緑に色が変わる。

 

今年はまだ雪が積もらず

七草の幾つかが

元気に黒い土から伸びている。

 

崖の上には

艶々とした緑の苔が

広がっているのは

下を流れる伏流水のせいか?

 

手に優しい フワフワの苔。

冷たい風が吹く中で

なんと鮮やかな緑だろう。

 

車に乗っていると

ただ流れていく景色が

ゆっくりと歩いていると

一つ一つが目に心に飛び込んでくる。

 

それはまるで

鍵を掛けない木箱の中に

一枚一枚積み重なっていく

几帳面に書かれた紙のようだ。