わすれな草の運命

わすれな草
わすれな草

 

「どうしてこんな所にわすれな草が?」

 

小屋前の車が走る道の脇に

小さなブルーの花が

ふらふらと風に吹かれて咲いていた。

 

「こんな雑草が欲しいのか?」

と不思議がるオチヨさんの

納屋の周りから沢山引き抜いて

小屋の前の花壇に植えたのが1年前。

 

小さなブルーの花が

群れて咲いている様を思いながら

植えたのを思い出した。

 

そんな事をすっかり忘れて

その場所の土を掘り起こし

株分けした秋明菊

何株かを植えた。

 

枯れて飛び散った

わすれな草の種。

道に落ちた

たったの一粒。

それが芽を出し花を咲かした。

 

運命のいたずらに会いはしたが

今は

植木鉢に居場所を見つけ

クリスマスローズの鉢の間で

元気にお陽様の光を浴びたり

強い南風に身をよじらせたり。

しゃんとして生きている。