4月3日 雪

 

冬のフード付きのコートは

すでに仕舞った。

暖かい日が続いた後に。

 

それではと 

ゴソゴソと引っ張り出した

毛糸の靴下で

ワークブーツの中は温かい。

 

朝ご飯の前に

カメラを持って近くを歩こう。

 

手を広げて

「やっと起きたんだね」と

私を待っている雪を纏った山。

花粉をたっぷりと着けた

鉄錆び色の杉。

枝に淡い緑の葉を着けた

黒すぐり。

タチツボスミレの淡い紫の花は

雪に押しつぶされた。

 

植物達は

もうすっかり春仕度を終えて

「さあ」と出番を待っているのに。

 

水を含んだ春の雪は

冷たい空気だけを残し

陽の光でどんどん溶けて行く。