昭和の生き残りが欲する苺

 

三月にスーパーの棚に

苺が並び始めたのは

いつの頃からだろう。

 

そして 12月にも。

 

温室育ちのかわいい苺。

大きさも同じで

味はほのかで

食感はさくっと。

そして

個性に乏しい。

 

自分では買わない

今の季節の苺を食べた時の感想だ。

 

玉子くらいの大きさの苺は

箱に詰められている。

これは見た目もかわいくない。

ごめん。

あんたの責任では決してないのに。

 

私は5月頃に採れる

露地栽培の

粒の揃わない

食感もしっかりとした

齧れば濃い香りと果汁の

野育ちの娘みたいな苺が食べたい。

 

私が子供の頃

八百屋で売っていた

木の箱に入れられたり

量り売りで売られていた

逞しい苺。

 

今はそんな苺は

自分で育てる以外は

夢の又夢だ。

 

トマトの

青臭くさい香りと甘酸っぱい味は

ミニトマトに残っているだけ。

 

こんな事を言う私は

オールドファッションの

昭和の生き残りだろうか?

 

それとも

石油で暖をとるグリーンハウスで

丁寧に作られる苺やトマトに

何らかの違和感を持っている人

つまり

私同様に昭和の生き残りで

どこかでブツブツと文句を言ってる人。

 

聞いてみたいものだ。