トミコワールドの編物

 

「いらんかったら捨てて」

この辺りの奥さんが

私に何かをくれる時の口癖だ。

 

大根、白菜、小松菜・・・

必ず「いらんかったら捨てて」

 

冬の雪で埋もれた畑では

なんの農作業も出来ない。

だから

トミコさんは編物をする。

椅子の座布団カバー マフラー

靴下 帽子等々。

 

その一部か二部かは知らないが

私のコレクションになっている。

 

毛糸で編んだものは

セーターでも靴下でも

少しもっさりした感じのが

私の好みだ。

「もっさり」なんて

トミコさんは気を悪くするだろうか。

 

冷たい冬の足元を

暖かく包む毛糸の靴下。

洋服一枚分のぬくもりの

軽い毛糸で編んだマフラー。

 

貰う時にやっぱりトミコさんは言った。

「いらんかったら捨てて」

 

とんでもない。

「弟君」も夫も私も

トミコワールドのファンだ。