谷に棲むカワガラス

 

小屋の北側に

山から流れ出る谷がある。

 

夏の雨の降らない時でも

いつも砂防ダムから

水が落ちている。

 

夏の緑の樹々の下を

音をたてながら水が流れる谷。

 

その谷を四季を問わず

チャコールグレイのカワガラス

超特急で突き進む。

私はこの鳥が大好きだ。

 

姿は見えない時でも

鳴き声で分かる。

「ビー ビー」

 

雪の積もる今の季節でも

カワガラスは元気いっぱい。

鉛色した川面を

弾丸の様に飛び去る。

 

谷のどこかの岩の奥に巣があるのだ。

決して人間には見つからない所。

それを探すのは

カワガラスに対して大変失礼な事だ。