「ここにいますよ」

イワナシ
イワナシ

ここ数日、霰が降ったり、雹が降ったり、冷たい雨が降ったりと、私はまだぶ厚いタートルのセーターやフリースを脱げないでいる。

豪雪とも言われた大雪がやっと融けても、斜面はまだ枯れた草や葉っぱに覆われている。そんな中、見過ごしてしまいそうな春の花々が少しずつ咲き始めた。

 

淡いピンクの「イワナシ」。ウチの前の山の斜面に毎年律儀に咲いてくれる。実も食べられる。小さな小さな実をジャムにするには大変な根気がいる。だから摘まない。この花を見ると必ず若い頃のチャン・ツイーを思い出す。

 

 

ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ

20年程前に「ショウジョウバカマ」を初めて見た。美山の農家の生け垣の石の間に、それはアトランダムに咲いて、麻布にピンクの模様を散らした様に見えた。

村の畑や山の斜面、清水が滴り落ちている岩肌に咲くショウジョウバカマは、ここに引っ越して来て、春の始まりの花だと知った。

 

車で走れば見過ごしてしまう山野草も、歩いていればすぐに眼に留まる。存在を主張していない様に見えるのに「ここにいますよ」と言っている。


フキノトウ
フキノトウ