山里に春

畑の梅の花
畑の梅の花

京都では今桜が盛りである。鴨川の堤、平安神宮の側、街のあちこちと数え上げればきりがない。咲いて始めて、こんなにも沢山の桜が植わっているのかと毎年思う。


ここ朽木平良は桜はまだ少し待たなくてはならない。今、梅の花が農家の庭、畑のふちに静かに花を咲かせている。

うちの小屋の前の林の中では、群生とまではいかないが春蘭の花達がふっくらとした腐葉土の中で薄い緑の花をつけている。そして春蘭の花達の下では、イワナシが可愛いランタンの様な花をつけ崖をおおっている。私はこの花が特に好きだ。道の側の崖や畑の斜面には、ピンク色のショウジョウバカマが放射状に花をつけ思わず足を止め見入ってしまう。

春の嵐やみぞれが何時までも続き、「何と言う天気だ」とストーブに薪をくべる毎日。しかし風は冷たくても明るい陽射しに変わった昨日、今日、ふと気がつくと私の回りには小さな山野草が咲き始めていた。「ね、ちゃんと咲いたでしょう」と言いながら。

梅の花びらがヒラヒラと散り終わると、この山里の村にも桜が咲き始める。そして山桜やコブシの花もまるで相談でもしたかの様に仲良く山を飾る。

静かな山の村で、耳を澄まし目を凝らすと、何とお喋りなんだと気がつく筈だ。

 

ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ
春蘭
春蘭
イワナシ
イワナシ