一緒に越して来た

25年の同居
25年の同居

京都の狭い土地に植わっていた木々や花達を全部連れてこの地に引っ越して来た。残しておくのが可哀想に思い,根や枝を思い切り短く切りトラックに乗せた。

越して来てからも長い間植えもせずにほったらかし。他に山程の用事があり,土を掘るのが一日延ばしになった。木蓮をやっと植えたのは2ヶ月後の10月の終わり。葉も細い枝も何もなく、のっぺらぼうな幹が2本,恨めしそうだった。

雪が溶け,小屋の回りに山野草が咲き始めても木蓮は知らん顔。でもある日、幹に小さな緑の葉が出ているのに気がついた。見過ごす様な緑の葉。そして3回目の冬が終わり,去年の春、京都で咲いていたよりも濃い紅色の花が6っつも,7つも咲いた。

25年前に友達がくれたシンビジウム。時折水をやり,株分けをするだけの世話しかしていないのに毎年,沢山の花をつけた。引っ越してからは花もつけずもう駄目なのかと思っていたら,2月に入ってドンドン花芽が伸び見事な花をつけた。

ソテツ。私の父が37年前に植木市で買って来た。どんどん育った。こんな雪の積もる所ではまず無理だろう,しかし捨てるわけにもいかずいい加減に穴を掘り植えた。「ゴメンね。これであんた達ともお別れだ」と植えながら思った。冬の前には茅やら芒で囲ったが葉は枯れ,春になっても新芽もでなかった・・・のに、親木の下から小さな芽が二つ。生意気に小さなソテツの葉までつけて。

 

感心した。木も花も3回目の冬を過して再生でもしたかの様に新しい姿で現れた。この地に慣れるのに3年かかったという事だろう。

今、木蓮は堅い蕾を沢山付けて雪の地面に立っている。

ソテツは雪の中だ。雪が溶ければ子供のソテツはどんな顔を見せるのか。

放ったらかしにされ続けたシンビジウム達も、私達を恨む事なく陽気な顔をこちらに向けている。

せめてものお詫びにと写真を撮った。

40年の同居
40年の同居

定番「チキン唐揚げ甘酢漬け」
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