羊歯や苔は
原始を思わせる植物である。
少なくとも 私にとっては。
人間がまだこの地球に存在しない大昔
湿気の多い土地に 苔は産(む)していたであろうし
羊歯は巨大な葉っぱを 大きく広げていたであろう。
人類の祖先である 不思議な形をした鳥が
大きな羽を広げ 羊歯の上を悠々と飛び
鎧を纏った様な 無骨な姿の魚が
小さな潜水艦の様に川を泳ぐ。
気の遠くなる程の年月を経て
羊歯や苔は 少しの形を変えて
今も私の前に。
そんな想像を掻き立てる
くるりと巻いた 小さな羊歯の姿だ。