鍋と薪の火の力を借りる料理

 

4月も後半に入った。

山の中の村に住む私は

まだ 朝晩 ストーブに薪を放り込み

暖かい小屋で暮らしている。

外の霙まじりの雨と強い北風も

この小さな小屋の中までは入り込まない。

 

ストーブを使っている間は

その上に鍋やフライパンを載せて

野菜を煮たり 肉を焼いたりして

おかずを作っている。

 

25年以上使い込んだ

分厚い鋳物のフライパンや鍋は

食材にじっくりと火を通し

本来の旨みに もう一味こくを加える。

ただ 鍋と薪の火の力を借りているだけ。

 

例えば 今日の昼ご飯のチキン。

チキンの皮を剥ぎ 

フライパンでこんがり焼き

油をたっぷりと出す。

その油でチキンを焼くというわけだ。

 

塩 粗挽き胡椒をたっぷりと振り

しばらく置いたチキン胸肉。

 

煙が出る程熱したフライパンに

チキンを入れ ミントの茎を2、3本。

皮を剥いたジャガイモと人参も。

 

火を弱めて 途中で一度裏返す。

これで チキンが小さくなるまで焼けば

出来上がり。

 

ジャガイモ 人参はチキンの煮汁を吸い

味付けは不要。

 

ミントの香りのチキンを薄くスライスし 

ジャガイモ 人参と共に皿に。

マスタードは欠かせない。

 

青菜の小鉢物を一つと

汁物を加え 

美味しい昼ごはんが出来た。

 

このチキンは

サンドイッチにしても

本当に美味しい。

 

薄くスライスしたチキンと

きゅうりのピクルス。

一緒に漬け込んだ玉ねぎの薄切り。

それらを 粒マスタードを塗ったパンに挟む。

私の好物だ。

 

食した人達は「初めての味」と言う。

それが「美味しい」と言う意味か

それともそうでないのか。

どっちなんだろう?