忘れな草

 

95歳、現役の農婦オチヨさんの蔵の周り。

見事に咲き誇っていた忘れな草。

それを　一掴み引き抜き

うちの小屋の前に移植した。

 

ヒョロヒョロと頼りなく

挙げ句の果てに

うっかり者の私に刈られてしまった。

 

青い星の様な花が

溢れる様に　群れて咲くのを夢見ていたのに。

 

４月に入ったある日　二坪小屋の前。

見慣れない葉っぱの中から

顔を出した　青い花。

 

強い風に吹かれて

ブルブルと震えながら

私の前に現れた。

 

小石だらけの土にでも

ちゃんと根を張り　花を咲かせて

私を驚かす。

植物は誠実だ。