山桑と猿

山桑の実がよく熟した。

それは小指の先くらいの大きさで

暗い紫色をしている。

 

摘んで食べると

果汁の色は濃厚だが

軽い甘さだ。

 

川向こうの山桑に毎年やって来る猿達。

桑の木の一番高い所に親分が陣取る。

むしゃむしゃと実を食べ

柔らかい葉っぱも食べ。

 

下から若造猿が木を登ろうものなら

親分が大声で威嚇して木を揺する。

 

それでも諦めない若造。

小猿は下で待ち受け

落ちて来る実や葉っぱを

楽々と手に入れる。

 

2本の木の周りは

それは騒がしい。

 

美味しい桑の実

新鮮な桑の葉

 

猿達が去った後

桑の木はすっきりと

散髪をした様に涼しげだ。

 

「ああ、やかましかった

 もう少し、行儀よく食べてね」