長い間廃校のままだった小学校。
去年 重機であっという間に
取り壊された。
広い更地に残された大きな石。
そこに彫られた
「幽渓生偉材」
この達筆は先代の「お殿様」の字だな
多分。
いかにも林業の村にふさわしい。
昭和63年
創立80周年の年に設置された。
「深くて静かな谷に生まれる立派な材」
と読んでおこう。
「材」は木と人の二つの意味があるのだろう。
今や林業は廃れ人はいなくなった。
小学校が出来た時
こんな日が来るなんて
集落の人達は思いもしなかっただろう。
うちを訪ねて来る友達が言う。
「人がいなくなって寂しくないか?」
私は答える。
「私が引っ越してきた時は
もうすでに限界集落だったよ」