1980年代の半ば。
私はアメリカのテレビドラマ「私立探偵スペンサー」を
深夜にドキドキウキウキしながら見ていた。
確か、ビデオもない時代だった。
ロバート・B・パーカーの探偵小説
「スペンサー」シリーズのドラマ化。
ハードボイルドの探偵のイメージ。
出がらしのコーヒーを
散らかった部屋で飲み
着古したコートを引っ掛けて
街に出て行く。
そんなイメージを払拭した
スペンサーの作る料理は
実質的で懐かしい家庭料理だ。
「田舎風パテ」「カボチャのスープ」
「鶏とマッシュルームのクリーム煮」
「フライド・グリーン・アップル」
「ホットビスケット」「ルーバーブパイ」
「ふすま入りパンの
ピーナッツバターサンドウィッチ」
等々 等々。
小説、ドラマの中でスペンサーの作る料理。
それを一冊の本にしたのが
「スペンサーの料理」だ。
何度となく読み返し
いつの間にか
私の料理になったものも幾つか。
舞台になっているボストンの描写
事件の謎解き
そして
スペンサーの作る料理が楽しみで
次々と小説を読んでいった。
30年程前の事だ。