400メートルの道を
手押し車を押して
チエコさんがイチジクを持って来てくれた。
庭の池の上に
枝を広げたイチジクの木。
腰の曲がったチエコさんが
手を伸ばして採ってくれた。
本当に有り難く思う。
夕方になると
ストーブに薪をくべる。
香ばしい香りの柿の木の薪。
これも
チエコさんの家の木だった。
むっくりと暖かい小屋の中。
白い器に盛られたイチジク。
縦に割るとミルク色の汁が
切り口からにじみ出る。
スプーンですくって食べよう。
「ありがとう」