夜、テレビニュースの音の合間に聞こえるトラツグミの声。ホーホー、チーチー、ポ、ポ(私にはそう聞こえる)。田んぼの蛙の合唱。そして漆黒の空は、砂を撒いた様に星が広がっている。そして、この小さな小屋を何かに見つめられている気配がする。
山の中に暮らしていると、街では感じる事のなかった「何かの気配」を感じる。山の中から動物達がじっと私を見ている様な、野の花が「ほら、ここにいますよ」と言ってる様な、枯れた葉っぱの下から何かが顔を出しそうな、そんな気配。
小屋の回りや山の中を歩いている時、そんな気配を感じ立ち止まって後を振り返る。
アメリカ、マサチューセッツに住む14才の男の子、ニックネームはFiddle Oak。この男の子の写真を見た時、私はドキドキする程驚いた。
「そうだ、そうだ!。私を見ているのはこんな小人なんじゃないのか?」
「床下の小人」「ノーム」「トムテ」「ピーターパンのティンカーベル」。人間に知られる事なく、ひっそりと、しかし、逞しく生きている小人達の物語。幾度となく読んだ。
「まさか、小人がいるなんて・・・」。でも、私のまわりにいてくれたら。そしてそのどれもが筆やペンで書かれた小人や妖精だった。
Fiddle Oakの写真は、小人をFiddle Oak自身と姉が活き活きと演じ、私に「ひょっとして、小人はいるかも知れない」を思わせるのに充分だ。
山の中でふっと後を振り向いた時、鳥の羽根をつかんで、私のまわりを小人達が飛んでくれていたら・・・
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